
「これ手作り?!すごい!」「売ってるものみたい!」
手作りしたものに対して、そんな言葉をかけてもらったらすごく嬉しいですよね。面白いことに、作品の「完成度」ってミシンを踏む前にほとんど決まっていると、私は思っています。
そしてさらに面白いのは、初心者が思っている洋裁のポイントと、経験者が考えるポイントには「ズレ」があるのではないか、ということ。
今日は、この「ズレ」について考えてみたいと思います。
その① 生地を買うとき

綿は縮む。気持ち多めに購入を
(生地屋にて)
<初心者🔰>布はたて50㎝必要。じゃあ、50㎝ください!
<経験者>60㎝ください!
こんな風に、生地を購入する段階で、両者にはすでにズレが生じます。
どうして経験者は10㎝多く購入したのでしょうか?
生地は糸が引っ張られて、織られているから
生地は、たてとよこの糸が織り合わさってできています。(ニットは違います)
このとき、たての糸はぴーんと張られて並べられ、その間をよこの糸が通っていきます。つまり、たての糸は引っ張られた状態で生地になっているので、洗うと少し縮みます。
髪の毛をアイロンでスーパーストレートヘアにしても、シャンプーしたら元に戻りますが、そんなイメージです。
私が昔、生地屋さんに「ものにもよるけど、綿は5%程度は縮むと思ったほうがいいよ」と言われたことがあります。親切なスタッフさんはそう教えてくれることもありますが、通販などではそうはいきません。
生地を購入するときは、必要な用尺より5%以上多めに見積もっておくと安心です。
その② 生地を買ったあと

買ったあとに、縫うか、洗うか
<初心者🔰>よーし生地を買ってきたぞ!さっそく作ろう!ジョキジョキ……。
<経験者>よーし生地を買ってきたぞ!とりあえず水につけておこう!
このズレは、料理でいうところの「下処理」に似ていると、私は思っています。
水通しで生地を戻す
すでにお伝えした通り、綿の生地は縮みます。
織られたときのままの生地は、人間でいうところの「お化粧姿」。お付き合いするなら、一度は素顔を確かめておいたほうがいいですよね。
そこで必要なのが「水通し」です。(水通しのあとは、アイロンで地直ししてね)
水通しを怠った人の末路(私の話)
私は昔、ランチョンマットで失敗をしました。2種類の綿生地で、切り替えのランチョンマットを作ったときのことです。
当時は面倒なので水通しをせずに、娘にランチョンマットを作りました。完成して何度か使用していたある日のこと。洗濯物のランチョンマットを畳みながら、私は気づきました。
(ん?……ランチョンマットが、半分ゆがんでいる?)
へんてこな形のランチョンマット。なぜだ?と考える間もなくわかりました。水通しをしていなかったからです。
しかも、2種類の綿生地を使ったので、収縮率が違ったのです。
デニム生地と柄生地の組み合わせでしたが、柄生地のほうがよく縮んだようでした。柄生地は小さく縮み、デニム生地はそれほど縮まなかった。その結果、なんともいびつな形のランチョンマットになってしまったのです。
身をもってこの失敗を経験してから、水通しはするようになりました。
ちなみに、水通しの方法はいろいろありますが、私は自宅用のものなら、洗濯ネットに入れて通常の洗濯と一緒に洗ってしまいます。
そうすれば、今日作ろう!と思ったときに、すぐ制作に入れるからです。
水通しを面倒くさがって省略しないための、ズボラな私なりの工夫です。
ただし、これは自宅用のものに限った方法です。
その③ きれいに仕上げるために

型紙は「設計図」
私がイメージする、楽しそうに洋裁をしている素敵な人って、シンデレラです。シンデレラが、鳥やねずみと一緒に歌を歌いながらさらさら~と作っている、あの姿です。
ただ一つ、現実と想像で違うところがあります。
あの姿って、「型紙」を使っていなさそうですよね。
でも実際に、あんな感じで作ったらどうなると思いますか?98%くらいの人は、思っていたものと違うものが出来上がるのではないかと思います。
実は型紙を使うと、上手に作れる自動レーンに半分乗ったも同じです。縫いやすく、きれいに出来上がる可能性が高くなります。
アイロンは、想像の5倍使う

洋裁経験者は、口をすっぱくして言います。
「こまめにアイロンをしてください」
これ、何となく言っているわけではありません。完成度にかなり直結するので、みなさん口をそろえて伝えているのだと思います。
こう言われて、こまめってどの程度?そう疑問を抱かずにはいられませんよね。
実は私は少し洋裁を教えた経験がありますが、初心者の方ほどアイロンを使う頻度に驚かれます。アイロンしてくださいと言われても、特別な感じがしないので、ついスルーしがちなのではないでしょうか。
私の感覚では、初心者の方がイメージしている「こまめ」の5倍くらいで、ようやく洋裁経験者の「こまめ」に相当するのだと思います。
本当に面倒くさいとは思いますが、侮らないで、面倒くさがらないで、ミシンを出したときは隣にアイロンも準備してください。
想像している5倍くらい、アイロンがけを挟んでみてください。多分、ほとんどの作業の合間にアイロンが入ってきます。
驚きましたか?
その④ ミシンが壊れた!は、ほぼ思い込み

洋裁を始めたころ、私はよくミシンが壊れたと思っていました。でも、それは単純にミシンの扱いに慣れていなかっただけなんです。
壊れたのではない。ただ調整していなかった。それだけです。
ミシンもギターと同じ。「チューニング」をしよう
ミシンは、正しく扱えばきちんと動いてくれます。
ミシンに不具合が出たとき、原因として多いのは次の2つです。
- ミシン糸・ボビン糸のかけ方
- ミシン針の取り付け方や状態
まずは一つずつ確認してみましょう。
1. ミシン糸・ボビン糸のかけ方
糸をかける順番が一つ飛んでいたり、ボビンの向きが逆になっていたり。ほんの少しの違いで、ミシンはうまく動かなくなることがあります。
不具合が出たときは、慌てずに一度糸をかけ直してみてください。ここが初心者の方と、経験者で起こるズレです。慌てず、ゆっくり確認しながら糸をかけ直すと、案外普通に動き出します。経験者はそれをよく知っています。
💡ミシン糸💡数字が小さいほど太くなります。適した糸の太さで縫ってくださいね。
- 90番:薄地
- 60番:一般生地(入園入学グッズは基本これ)
- 30番:厚地
2. ミシン針の取り付け方・状態
針を取り付けるときは、意外とこんなことで不具合が起こっていること、知っていますか?
- ミシン針の穴が正しい方向を向いていない
- ミシン針が奥まできちんと差し込まれていない
- 針先が曲がっている
針先の変形は、ファスナーの金具部分など、固いものを縫ってしまったときに起こりがちです。
こんな些細なことで不具合が起きるんだ!と思ってもらえると、ミシンのトラブルも減っていくと思います。
💡ミシン針💡生地の厚みに応じた針を使ってくださいね。
- 9号:薄地
- 11号:一般生地(入園入学グッズは基本これでOK)
- 14号:厚地(キルティングなどにおすすめ。11号でも縫える場合があります)
まとめ
洋裁というと、どうしてもミシンの技術に目が向きがちです。Youtubeで作り方動画はたくさんありますが、今回はあまり注目されない「制作前の準備」の重要性についてかいてみみました。
生地を多めに買う。水通しをする。地直しをする。型紙を使う。アイロンをかける。
どれも、ミシンを踏む前、あるいは縫っている途中のちょっとしたひと手間です。
これを読んで、ちょっと気にしてやってみるだけで、え!こんなに早くきれいに縫えた!と完成度が上がると嬉しいです。
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